作業の後は、北海道教育大学から保全生態学、植物生態学を専門にされている今村彰生さんをお招きし、石狩川と多摩川の河川環境の違いや保全生態学を中心に講演会を開いて頂きました。
まずは気候変動についてです。
海水温上昇によって海水魚の分布が変わり、北海道の海ではサケ科が減ってブリなどが北上しているそうです。
また、冬の終わりが早まって、春に植物の開花が早まる可能性があるとのこと。なかには開花が1.8日/年も早まっていると算出された種類もあるそうです。
雪解けが早まり、早期開花に繋がりますが、周囲の住民があまり気にされていないことに危機感を感じると仰っていました。
次に、生物の競争の定義と競争排除則についても学びました。
生態学での競争の定義は同じ資源を取り合う関係にあること、競争排除則は(ニッチの)似通った生き物同士が閉鎖系で2種いた場合、どちらかが競争の結果としていなくなることだそうです。
私たちが外来植物を防除するのは他の植物に光を与えるためだと考えていましたが、在来種が外来種から競争排除されることを防いでいる、と言い換えることもできると分かりました。
また、研究者の視点から、保全活動を実践する上で、非常に大切な考え方も示していただきました。
ひと口に保全と言っても、原因を探すことや新しいことがわかるなどの科学的なアプローチと、なんとかしたい気持ちや肌でわかるような技術的なアプローチが合わさったものであり、またそのゴールについて、はっきりと書かれたものはないとのことです。
「保全はスタートが哲学、たとえばstewardship(管理責任)などです」とのお言葉もいただきました。
実際に体を動かして防除作業をする事と併せて、保全の意義や目的について思考を巡らすことも大切だと学びました。