日時:2024年5月4日(土)
活動場所:せせらぎ池
人数:ボランティア26名(一般10名、高校生16名)+スタッフ8名

<今回の活動>
①ニシノオオアカウキクサ、アレチウリ、オオカワヂシャ、ヤナギ類、オオフサモ 計153.9kg防除
②侵略的植物クッキング
(ナヨクサフジ、シャクチリソバ、ハルジオン、アレチウリ、オオカワヂシャ、クズ、セイタカアワダチソウ)

毎月第一土曜日に登戸せせらぎ館にて実施している外来植物の防除活動。今年度からは東急財団の助成金も得たことにより、さらに活動範囲を広げていっています。
今回は、いつもの防除活動の他に活動中に見られるかもしれない昆虫である「クワコの解説」や、”365日野草生活のん”さんを講師として「侵略的植物クッキング」というイベントも同時に行いました。
まずは今月の防除活動についてレポートを書かせていただきます。

今回は
ニシノオオアカウキクサ(Azolla filiculoides)
アレチウリ(Sicyos angulatus)
オオカワヂシャ(Veronica anagallis-aquatica)
ヤナギ類
オオフサモ(Myriophyllum aquaticum)
を防除しました。 普段よりも対象種が多いため、今回は参加者を4チームに分け、それぞれのチームごとに対象の植物を採集してもらいました。

・ニシノオオアカウキクサ班
アメリカやアジア、オーストラリアなどに分布する北米原産のアカウキクサ科の水生シダ植物。
春から夏にかけて栄養繁殖で増殖し、増殖速度が非常に早く厄介です。
夏期は表面が淡緑色、冬期は紅色になり、水面を覆います。
水面が覆いつくされてしまうと、水中の酸欠や日照の遮断による水質悪化を招き、魚や水中生物・水中植物を死滅させてしまいます。
今回もせせらぎ池のニシノオオアカウキクサ防除に取り組み、地元の高校生たちにも参加してもらって広い範囲を防除することができました。しかし、取っても取っても増えてくるというのが現状です。水面が広い場所は見つけやすく防除もしやすいのですが、人が簡単に入れないような狭い隙間にはびっしりと蔓延っています。
地道で体力勝負な作業にはなりますが、せせらぎ池をよりよい生き物の住処とするべくこれからも防除していきたいと思います。

・アレチウリ班
アレチウリ(Sicyos angulatus)は北米原産の外来ウリ科植物です。その繁殖力から在来植物との競合が危険視され、環境省からは 特定外来生物 に、日本生態学会からは 日本の侵略的外来生物ワースト100 に指定されています。
活動を行った5月頭時点ではまだ本種は成長しきっておらず、今のうちに防除をしておくことで高い効果が得られる可能性があります。しかし、まだ成長していないことが仇となり、見つけることがかなり困難な状態でした。そのため、チーム全員で地面を凝視しながらフィールド内を歩き回るという地道な作戦を実行し、なんとか発見&防除をすることができました。また、他の対象種を防除しているチームとも情報交換を行い、生えている場所を教えてもらう等の工夫もあり最終的には0.5kg程の量を採ることができました。
今回のアレチウリは「侵略的植物クッキング」で使用するため集計後に根などを取って下処理を施しました。

・オオカワヂシャ班
5月よりオオカワヂシャ(Veronica anagallis-aquatica)の防除が始まりました。
せせらぎ池には準絶滅危惧(NT・環境省レッドリスト)のカワヂシャ(Veronica undulata)が生き残っています。
オオカワヂシャは在来種のカワヂシャ(Veronica undulata)と交雑し、雑種個体ホナガカワヂシャを作ることが問題となっています。
雑種個体ホナガカワヂシャとの見分けが難しいため、確実にオオカワジシャであると同定できる個体のみ抜き取りを行い、交雑対策をしました。

・ヤナギ類班
せせらぎ池本流側にはヤナギの大木が数本あります。その種が飛んで育ったと思われる実生幼木が多数あり、50㎝~1mになっています。
このままでは他の植物の生育を阻む可能性があるため、ヤナギ幼木が集中している場所の防除作業を行いました。
ほとんどは手で抜けましたが、約2mに育ったもの2本は参加してくれた高校生が三人がかりで抜いてくれました。防除量は18.4㎏130本。
せせらぎ池地区には9種のヤナギの記録がありますがヤナギの同定は難しく、今回防除作業中に詳しく調べる時間もなかったため、種名は不明です。

結果として合計で153.9kgの防除をすることができました。

次に「クワコの解説」についてレポートを書きます。クワコ(Bombyx mandarina)とは、有名なカイコの原種だと考えられている昆虫です。本種を何千年もかけて品種改良したものが今日のカイコだと言われています。そんなクワコについて、昆虫好きのリーダーが防除活動の前に行ったミーティングで解説しました。説明の際、リーダーが自宅から持ってきたクワコ幼虫&比較用のカイコ幼虫を参加者の方々に見てもらい、実際にどういった点が違うのか観察しました。
防除活動の後は、”365日野草生活のん”さんが主催の「侵略的植物クッキング」というイベントを行いました。

今回の防除活動やその他イベントには、普段から参加してくださっている方の他にも、初めて来た方や先月から来てくださっている多摩高校生物部の方々も参加してくれました。参加者全員がしっかりと活動目標にむけて頑張ってくれたおかげで今月も大きな成果を挙げることができました。


防除前
防除後
クワコ
カイコ

作業の様子